こんにちは。
プリズムタワー工藤歯科の副院長、工藤有加です。
歯周病が進んでしまって、ぐらぐらしてしまって、歯科医院に行ってみたら、この歯はもう歯を抜くしかない、と言われてしまった。
どうしたらいいか、悩んでいらっしゃる方。
この記事で、
・そもそも自分でそのぐらぐらした歯を治せるのか?
・ぐらぐらした歯は助かるのか?
・歯周病が知らない間にひどくなってしまう理由
・再発しないために知っていてほしいこと
・一般歯科と歯周病専門医指導医との差
を、順番に書いていきたいと思います。
ぐらぐらの歯を自分で治す方法はあるのか?
結論から言うと、歯周病でぐらぐらの歯を自分で治す方法はありません。
なぜかというと、歯周病は、骨が溶ける病気で、自然には元には戻らないからです。
でも、まだ間に合う可能性もあります。
歯周病ではない理由でぐらつく場合もありますし、
奥歯が少しでもぐらぐらしている、と感じていたら、歯周病が進行している可能性が高いので、早めに診てもらってください。
まだ助かるのか?を自分で知る方法。
レントゲンでどれくらい骨がなくなっているかを歯科医院で診てもらった方がいいですが、
歯のぐらつきがどれくらいなのか?を知ることで、抜歯かどうか?を知ることができます。
歯の揺れが水平的に0から1ミリくらいまで動く
歯の揺れがが水平的に0から1ミリくらいまで動くのであれば、歯周病の初期の段階の可能性が高いです。
歯周病治療をしてこれ以上歯周病が悪くならないようにすれば助かる可能性が高いです。
ホームケアが一番大切ですが、歯周病が知らない間に進むと大変です。
一度、歯科医師にチェックしてもらいましょう。
歯の揺れが水平的に1ミリ〜2ミリ水平的に動く
歯の揺れが水平的に2ミリ以上で押したら沈んだりする
歯の揺れが、1mm以上動いたり、さらに押すと沈むような揺は、歯周病が進んでいる可能性が高いです。
場合によっては、抜かなければいけないくらい悪くなっている歯があるかもしれません。
これ以上歯周病が進まないために早めの受診をおすすめします。
ぐらぐらになってしまった歯の治療とその注意点
ぐらぐらのになってしまった歯への治療法として、一番大切なことは、
「炎症のコントロール」です。
歯根面(歯の根の部分の表面)についたバクテリアを、徹底的に除去すること。
いわゆる、専門的な言葉で言うと、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)です
この技術こそが、とても重要です。
どこの歯科医院でも行っているSRP。
歯周病の状態が進むほど、高い技術が必要です。
その技術は目に見えないし、感じにくいです。
患者様の出来る事としては、
せめて、歯周病専門医、指導医のいる歯科医院を選んでください。
と言うことくらいしか、判断基準がないのが現状です。
ぐらぐらの歯に対しての治療で、注意したいことは、
①やたらとボンドで繋ぐ
②噛み合わせの調整と称して歯を削る
という治療法です。
この2つの治療法を優先的に行う歯科医院は要注意です。
はっきり言って、①と②をしても歯のぐらつきは治りません。
適切な炎症のコントロール=歯根面(歯の根の部分の表面)についたバクテリアを、徹底的に除去することをした場合のみ、①と②が効果的になります。
歯の根はとても複雑な形をしているので、とても高い技術がないと目に見えないバクテリアは除去できないんですね
なので、歯がぐらぐらして悩んでいる方は、その技術を持った、歯周病専門医、指導医にかかることをおすすめします。
【知らなければ再発】ぐらぐらの原因を知ろう。
どうして、歯がぐらぐらになってしまったのか?
ぐらぐらになるまで、軽視してしまって、知らない間に歯周病が進んでしまう原因は、3つ
①歯周病の特性
②重症にも関わらず、歯周病専門医にかかっていなかったこと。
③適切な治療計画を立案されていなかったこと
です。
それぞれについて詳しく説明して行きます。
①歯周病の特性
歯周病は、サイレントデイジーズ「静かなる病」と言われます。
「静かなる病」と言われる理由はどんどん気がつかない間に進行してしまうことが多いから。
極端な痛みがなく、たまに腫れたかも?ぐらいの症状でどんどん進んでいきます。
そのため、ぐらつくという自覚症状が出た時点で、多くの場合、歯を失うレベルの歯周病が進行している可能性があります。
非常に怖いですよね。
少しでも歯のぐらつきが少しでも気になる方は早めの受診をおすすめします。
②重症にも関わらず、歯周病専門医にかかっていなかったこと
痛みもなく静かに進んでしまう歯周病。
なので、歯周病が重症になっていることに気がつきにくいので、普通の一般歯科の歯科医院にとりあえず、かかることが多いです。
そうすると、適切な歯周病の治療がされないこともしばしば。
適切な、歯周病専門医の診査診断、治療は、一般歯科のものとはっきり言って違います。
餅は餅や、と言う言葉があるように、歯周病は、歯周病専門医、指導医にお任せするのが一番です。
③適切な治療計画を立案されていなかったこと
適切な治療計画がないと、治療のゴールがないまま、治療が進んでいきます。
そうすると、治療は、行き当たりばったり。
その時の悪いところをとりあえず治療する。
次に悪くなったところをまた治療。
永遠に、原因の除去もままならず、ゴールのない治療を繰り返すと、歯はぐらぐらのままだったり、失わなくてもいい歯まで、失ってしまう可能性もあります。
歯周病治療の成功の鍵
歯周病治療成功の鍵。
それは、原因の除去と、適切な治療計画です。
なぜかというと、全ての物事には理由があり、とりわけ歯周病には原因があるからです。
①お口の中の全体の問題点を抽出
②問題点の原因を見極め、解明する
③問題点の原因の除去
④問題点の解決策の提案と治療ゴールの設定
⑤今後の問題の再発の予防
①から⑤を順序立てて治療する計画を立てること
このことを「治療計画」といいますが、この「治療計画」がとても大事です。
この原因解明や原因除去を含んだ治療計画を立てることは非常に重要です。
計画のない旅は行き当たりばったり。
治療ゴールもないままでは、治療時間も費用も無駄にかかってしまうことも多いです。
正しい診査診断と適切な治療計画とその実行を行うことが治療成功の鍵です。
手遅れになる前に
手遅れになる前にできること。それは、
歯周病かも?と少しでも心配になったら、歯周病専門医指導医の中から歯科医院を探す事です。
なぜかというと、歯周病になっている成人は70%から80%と言われているけど、歯周病専門医の数は歯科医師の約1%。
近所の歯医者に行く、と言って、歯周病専門医指導医に出会える方が稀です。
わざわざ探して行かないと、歯周病専門医指導医には当たらないのが現状です。
歯周病専門医、指導医でないと、適切な歯周病の治療ができない場合が多くある、と言う事です。
クリニック選びで違う!?一般歯科に長年治療患者様の一例
以下、一例をご紹介します。
歯周病を一般歯科で何年もの間、診てもらっていた患者様。
「奥歯のぐらつき」がお悩みで当院に御来院されました。
当院で、診査、診断をして、治療計画を立てさせていただきました。
治療計画は、治療後20年後も安定した口腔内を想定して行います。
当院の歯周病専門医指導医による治療計画は、
・7本の抜歯
・4本のインプラント
さらには、もっと複雑な治療計画を立案せざるを得ない状況でした。
どうして、「奥歯がぐらつく」と言っただけの自覚症状の患者様が、7本もの多くの歯を失う羽目になってしまっていたか。
驚くことなかれ、現に今回のお話に上がったこの患者様も、何年もの間、定期的にかかりつけの一般歯科の先生に診ててもらっていたとのことでした。
さらには歯科衛生士によるクリーニングも何年もの間受け続けていたとのことでした。
一般歯科で定期的にクリーニングを受けていても、そういうことがあるんですね。
歯周病専門医指導医のもとで、もっと早い段階で治療を受けていたら、違う結果になったかもしれません。
一般歯科と、歯周病専門医、指導医は、行う治療も、提案させていただく治療も異なると言うことです。
なので、初期の段階で、歯周病の進行を抑えること。
手遅れになる前に、歯周病の専門医、指導医を探して適切な治療をお受けになってください。
それが、歯を失う前に、手遅れにならないためにご自身で出来ることです。
まとめ
・歯のぐらぐらを感じたら、歯周病専門医指導医のいる歯科医院の中から歯科医院を探す事
・必ず治療計画の説明を受けて、ゴール設定と今の問題点を明確にしましょう!
ギネスにも認定されている世界中で一番感染していると言われている歯周病。
日本の成人の歯周病感染率は、70パーセントから、80パーセントと言われています。
2022年9月現在日本の人口に対する歯科医師数は過剰と言われていて、日本全国の歯科医院数はコンビニの数より多いと言われています。
それにもかかわらず、歯周病専門医の数は、歯科医師の約1パーセントです。
(2021年度厚生労働省調べ)
つまり、単純計算すると99パーセントの歯科医院が歯周病専門医不在、ということになります。
これだけ感染率の多い歯科疾患を、専門医に見てもらえる可能性は、約1パーセントしかありません。
歯周病専門医指導医は、1000人に1人。0.1%。
こんなに歯医者がいっぱいあるのに、1000件に1件しかありません。
そのせいで一般歯科の先生、一般歯科の歯科衛生士が注意深く診察していても見落とされている可能性もあるわけです。
ここまで読んで下さった皆さんは、そんなことにならないことを願っています。