こんにちは。 プリズムタワー工藤歯科の副院長の工藤有加です。
本日は、
・歯周病があって、矯正治療が難しいと言われた方
・40代、50代以上で、歯並びの崩れが気になる方
が、「今から、できるだけご自分の歯を生かして、矯正治療で綺麗な歯並びになれるのか?」
について書いていこうと思います。
1、歯周病でも矯正治療はできるのか?
結論からお話すると、歯周病の方でも、矯正治療はできます。
なぜかというと、歯周病の方は、原因があり歯周病になっているわけで、
「きちんと病気の原因を突き止め、徹底的に排除し、歯周病をコントロールできれば、矯正治療はできる」
と言えるでしょう。
当院にも、30代から70代の歯周病の患者様の矯正治療の多くの症例があります。
ただし、クリニック選びを間違うと、歯を余計に失う原因を自分で作ってしまいます。
なぜクリニック選びを失敗してしまうと、歯を失ってしまうのか?
結論から言うと、歯周病の方の矯正治療は、クリニック選びがとっても大切です。
なぜなら、歯周病のある人の矯正治療は、歯周病治療と矯正治療、どちらもが得意な歯科医院でなくては成功しません。
「歯並びを治す→矯正」って思われる方が多いかもしれませんが、その知識のまま、歯周病の方が自分が歯周病だと気が付かずに、矯正専門の先生のところに行って、歯周病の治療をしないまま矯正治療が進んでしまうと大変危険だからです。
まず、矯正専門の先生の多くは、卒業してすぐ、矯正科に入り、一般的な歯科診療の臨床経験がほぼない状態で、矯正治療のみ勉強されています。
子供からほぼ、20歳くらいまでの、ほぼほぼ問題のない口腔内の矯正治療は問題ないでしょう。
歯周病があると、基本的には、歯周病の治療を先にしなければなりませんし、虫歯の治療を先にしてから矯正治療をすると思います。
歯周病が原因で、病的に歯が移動しているケースも多く、歯周病を治す専門家の方が、その移動した歯周組織への歯周外科手術などのアプローチと矯正を組み合わせる治療法は長けていることが多いです。
矯正治療をする際、今の顎の状態だと歯が並べきれないから、歯を抜きましょう、という話になることが多いと思います。
その時に、抜く歯は、4番目か5番目の歯を提案されることが多いです。
10代、20代の前半までは、処置された歯も少ないですので、そのルーティーン通り、抜く歯を決めるのもいいでしょう。
しかし、年齢を重ねると、健康な歯ではなく、残すことが難しい、リスクの高い歯というものが出てくる場合があります。
成人で矯正されたい方は、歯並びだけでない、お口の中の問題を抱えている方がほとんどです。
矯正治療だけではない知識と経験を持った歯科医師の、正確な診査診断のもと、残す歯、残さない歯というのを決めていった方がいいです。
なぜなら、歯が残せるか、残せないか、という判断が歯科医師によって異なるからです。
年齢を重ねるとともに
・歯周病のリスクは上がる
・治療された歯の本数が増え、治療履歴も多くなる
・単に虫歯を治す治療だけじゃない場合が多い
・根の治療、被せ物の治療、歯周病治療などが必要なことが多い
です。
その上で、歯科医師が判断しなければならないことは、
・この歯が残せるのか?残せないのか?
・再治療が必要なのか必要じゃないのか?
・歯周病のレベルはどれくらいなのか?
・歯周病治療は初期治療まででいいのか?歯茎の中の歯石とりまで必要なのか?オペまで必要なのか?
・本当に矯正力をかけていいのか?
・矯正中に歯周病は進行してないか?
・矯正する前の問題点の把握と必要な治療を選択、提案することが可能か?
を判断し、その上で、全体的な治療計画を立てる必要性があります。
包括的な知識、経験、診査、診断力が必要なのです。
矯正治療中に歯周病が進んでいないか、その都度チェックも必要です。
歯周病が進行していたら直ちに何か対策しないと歯を失う方向に行ってしまいます。
歯周病は矯正治療をかけている最中も、矯正治療後もコントロールする必要があり、成人以降は、常に歯周病のリスクがありますので、矯正する歯科医院は、安易に決めない方がいいでしょう。
歯周病の人が安全に歯並びを治すのに最も大切なこと
歯周病だけど、矯正する場合、安全に、歯周病治療と歯並びを安全に治す方法は、矯正治療を成功させる歯科医院選びを間違わないことです。
実際の歯周病での矯正治療ができる歯科医院の探し方
ご自身が、歯周病で、歯並びの治したい場合、成人で、近所の歯医者に行ったら歯並びを直した方がいいとわれた、と悩んでいらっしゃるのであれば、歯周病専門医、歯周病専門医指導医の中から、選ばれると良いです。
なぜなら、成人の矯正治療は、歯周病のリスクと常に戦う必要があるからです。
歯周病専門医、指導医の先生方は、ある一定のカリキュラムで歯周治療の専門性の高い試験をパスしたエキスパートの歯科医師の先生方です。
経験値は、認定医<専門医<専門医指導医 です。
認定医よりも、専門医。専門医よりも、専門医指導医を兼ねている歯科医師の先生の中から選ばれる方がより、臨床経験も豊富ですし、より適切な治療をお受けになることができる可能性は高いです。
その上で、成人で歯周病ケアもしたくて、歯並びも綺麗に、理想的に治療をしたい場合、
・正しい診査、診断はしてもらえるか?(歯周病検査、口腔内写真、レントゲン写真など)
・治療を始める前に、一口腔単位で、治療計画は立ててもらえるか?
・矯正も考えている場合、矯正治療は歯周病専門医指導医が主導権を持って矯正しているか?
・インプラントも希望の場合、インプラント専門医も兼ね備えているか?
を、電話で聞いてみてください。
来院する歯科医院を決めて、診査、診断をしてもらって、治療計画を立ててもらって、本当に治療をするかしないか考えるときが来たら、できたら、先生に失礼のないように、その歯科医院にお願いをして、その医院で、実際に、理想的な治療をした患者様の10年経過を見せてくださいとお願いしてみてください。
歯周組織は常に変化しますし、一部分が治っても、全体的に口腔内が機能していて安定して使えていなければ意味がありません。
あと、実際の学会発表で、ご自分の臨床のケースを発表されている先生は、自分の治療を他の先生に見てもらう機会のある先生たちなので、歯科の臨床に真摯に取り組んでいらっしゃる先生が多いです。
その医院で実際に行なった一口腔単位の理想的な治療の長期経過を見せてもらうようお願いして、
・見せられる資料がない
・全ての歯の歯周病検査の治療前後の記録がない
・お口全体のレントゲン写真の治療前後の比較ができない
・治療前後の、長期経過が比較できる一口腔単位での口腔内写真がない
のは、その医院で、高額な治療をするのは考え直した方がいいです。
良い歯科医院での、理にかなった良い歯科治療は、口腔内のプラークコントロールと、力のコントロールが、歯科医師と患者様で、協力して上手くできていれば、審美的にも、機能的にも安定していて、10年経っても歯を抜くことなく、追加で必要な治療も、ほとんどないか、軽症で、予測できてあらかじめ説明されたものに限られていて、安定した口腔内を保っていることが多いです。
歯周病専門医・指導医の探し方
1、下のURLをクリック
https://www.perio.jp/member/certification/group/guidance/
2、左上の認定医、歯周病専門医・指導医一覧をクリック
3、調べたい都道府県をクリック
4、歯周病指導医と専門医の両方があると、歯周病専門医、指導医です。
その医院のホームページをチェックしてみてください。
ちなみに、経験や技術の差は、認定医<専門医<専門医、指導医
です。全く歯科医師のレベルが違うので、できたら、専門医、指導医の直接のチェックがある、歯科医院をお探しになることをお勧めします。
インプラント専門医の調べ方
1、日本口腔インプラント学会のホームページを開く
https://www.shika-implant.org/list/
2、インプラント専門医、指導医をクリック
2、調べたい都道府県をクリック
歯周病専門医、指導医と、インプラント専門医の、両方を兼ね備えている歯科医師を調べるのは、歯科医師の私でも難しかったです。
両方持っているかどうかは、歯周病専門医、指導医の先生のホームページに行って、インプラント専門医も持っているかどうか調べるか、もしくは、直接電話で問い合わせてもいいかもしれません。
歯周病と歯並びでお悩みの皆様にも良い歯科医師との出会いがありますように。