今日は。
プリズムタワー工藤歯科の副院長の工藤有加です。
インプラントについて、どれくらい持つのかと聞かれることが多いです。
それは、個人差がある話なので、エビデンスも含めて、インプラントの寿命について詳しく書いていこうと思います。
インプラントをできるだけ長く使いたい方、すぐダメになりたくない方は必見です。
読んでみて参考にしていただけると幸いです。
インプラントの寿命は、どのくらいもつのか?
結論から言うと、インプラントは、「96.4%の人は10年以上もつ」さらに、
「93%の人は、20年以上もつ」と言って良さそうです。
なぜかというと、最新の論文で、”インプラントの10年生存率が96.4%”
”インプランの20年成功率=93% ”というデータがあるからです。
10年、20年以上持つ人が、93%以上、大半の人が、20年もつと考えて良い、ということです。
https://prism-perio.com/blog/implant-survival-rate-success-rate-latest-papers/
インプラントが老後まで長くもつ人・すぐダメになる人
インプラントの20年生存率が93%!というデータがあるのは、心強いですね!
60歳にインプラントの手術した人のうちの93%が、80歳まで、インプラントで噛めている!ということです。
でも、残念ながら、7%の人が、20年以内にインプラントがダメになってしまう。
その7%には絶対になりたくない!誰もがそう思いますよね。
それについて詳しく知りたい方は、次に書いていきますので、読み進めてくださいね!
インプラントを老後も長持ちさせるポイント10個
インプラントの寿命に関わるポイントは多岐にわたります。簡単にいうと
・歯ブラシのレベル
・抜歯に至った理由
・力学的、解剖学的に不利な条件
・喫煙習慣
・メンテナンスしているかどうか
などです。
具体的な例を挙げていくと、
A:もともとの口の中の細菌数
B:歯ブラシなどの口腔ケアの上手さ
C:骨の質
D:噛む力
E:食いしばり・歯軋りなどの癖
F:嗜好品(タバコなど)
G:医原的要因(これまでの治療の質)
H:メンテナンスの頻度・技量
I:この度のインプラントを入れるにあたっての治療計画
J:術者の技量
これらが全て、インプラントの寿命に関わってきます。
インプラント体自体が強固に骨に結合するから、そんなこと関係ないんじゃないか?
なんて思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
これら全てが、インプラントの寿命に関与します。
なので、インプラントの寿命が短い人も数%いる、ということになります。
インプラントの寿命が短い数%には絶対になりたくない人は、次に読み進めてみてください。先ほど挙げた、インプラントの寿命に関わる要点について詳しく書いていきます。
A もともとの口の中の細菌数
口の中の細菌数が多いと、インプラントの寿命は短くなる可能性が高くなります。
なぜかというと、ほとんどのインプラントを失う理由が、「インプラント周囲炎」(インプラントが歯周病になってしまう病気)だからです。
・虫歯で歯を失ってしまった
・歯周病で歯を失ってしまった
という理由で歯を失い、インプラントを考えるきっかけになった人は多いと思います。
実は、その2つの理由で歯を失った人は、口の中の細菌数が多い可能性が高いです。
しかも、それを放置していたりすると尚更です。
この放置してしまった場合の細菌の多くは、歯周病原菌が増えてしまう可能性が高いです。
ですので、インプラントの治療を受ける前に、きちんと歯を失った原因を突き止める、と同時に、原因をきちんと排除しておく必要があります。
つまり、「虫歯治療」と「歯周病の治療」を受けておくことがとても重要です。
ただ、治すだけでは不十分です。その原因が排除できないと、
一度治したとしても、また、次から次へ虫歯や歯周病になってしまうからです。
歯周病治療?歯石取りでしょ?虫歯も治したし、大丈夫でしょ。って思ってる人。
ちゃんと、もう、歯周病にならないような、虫歯になりにくくなるような説明や治療、きちんと受けてますか?
ただ虫歯治すだけ、麻酔なしの歯石取りをするだけじゃない話です。
歯周病なんて治らないから、歯を抜こう、なんて残る歯も抜いちゃう先生もいるから要注意です。
35歳以上でインプラント治療を考えている患者様は、歯周病専門医での歯周治療を強くお勧めします。
というのも、元々歯周病原菌数が多くても、歯周病や虫歯をきちんと治療して、口腔環境を整えることができ、口腔内全体の治療計画を立てた上で治療をすれば、インプラントの寿命を長くすることは可能です。
それには、歯周病専門医と、そのもとで十分なトレーニングを受けた歯科衛生士のプロの治療とメンテナンスが欠かせません。
B、歯ブラシなどの口腔ケアの上手さ
歯ブラシなどの口腔ケアが上手だと、インプラントの寿命は長くなる可能性が高いです。
なぜなら、毎日の口腔ケア、歯ブラシこそが、口の中のバイキンを減らす一番の方法だからです。
口の中の菌が減る=インプラントが歯周病原菌に曝される機会が減る=インプラント周囲炎になるリスクが減ります。
なので、インプラントの寿命が長くなるんです。
ただし、歯ブラシに関しての過信は禁物です。
歯ブラシは無意識でやってる方が多いので、実は、磨き残している可能性も多いですよ。
ちゃんと磨けているかどうか、歯茎に炎症が起きてないかどうかを歯科医院でチェックしてもらってくださいね。
それが、インプラントの寿命を長くする秘訣です。
C、骨の質
骨の質で、インプラントの寿命が短くなることがあります。
その人の持つ、骨の質は個人差があります。
例えば、
・強固な骨の人、骨粗鬆症の
・上顎か下顎か
・歯周病に罹患しているか否かとその程度
・インプラントを植える前の歯の状況
・抜歯の時に、インプラントの埋入を見据えた骨を補うような手術を同時に行ったかどうか
・抜歯の理由(歯周病、歯根破折、根の病気、虫歯、外傷)
なども、インプラントの寿命に関わってきます。
・より強固な骨質
・上顎よりも下顎
・歯周病にかかっていない、もしくはきちんと治療済みである
・悪い状況の歯(根の病気や骨の病気)を放置していない
・抜歯後に骨補填材料で骨欠損を補う
上記の方がインプラントの寿命は長くなる可能性が高くなります。
D:噛む力
噛む力は、人それぞれです。
あまり過度な力が加わらない方が、インプラントの寿命が長くなる可能性が高いでしょう。
インプラントで噛む力は、
・インプラントの埋入位置(前歯か奥歯か)
・噛み合わせの与え方(バランスが良いかどうか?)
・骨格(噛む力が強い骨格)
・歯軋りやくいしばり
によって、かなり差があります。
インプラント・残存歯に偏ることなく、全体のバランスがよい噛み合わせを作ることでインプラントの寿命が長くなる可能性があります。
それには、残っている歯の矯正治療をして、元々の噛み合わせ自体を治した方が良い、という提案を受けるかもしれません。
スポーツや癖などで過度な咬合力が加わりそうな場合は、マウスピースなどで歯を守る、という工夫をすると、インプラントの寿命を長くできる場合があります。
E,食いしばり・歯軋りなどの癖
食いしばりなどの癖も、インプラントの寿命を短くしてしまう可能性があります。
寝る時の歯軋りや食いしばりは、無意識下なので、マウスピースなどで保護することで、直接、力がインプラントや歯に加わることを防ぐことができ、インプラントの寿命を長くできる可能性があります。
F:タバコなどの嗜好品
タバコは、歯周組織、インプラント周囲に悪影響を与えるため、インプラントの寿命を大きく短くしてしまう恐れがあります。
タバコを吸っている人は、吸っていない人よりも2倍、歯周病が進んでしまうそうです!
これら、インプラントにはタバコが非常に悪いことはいくつもの質の高い研究から明らかになっています。
電子でも、紙タバコでもです。
怖いですね。
G医原的要因(これまでの治療の質)
誰にどんな治療をしてもらうか。どこでどんな治療をしてきたか?
これで、残っている歯の状況が違うわけですから、インプラントの寿命にも関係してきます。
特に、欠損周囲の歯周病の治療や、根の治療がうまくいっていない状況だとインプラントの寿命にも影響してくるでしょう。
H:メンテナンスの頻度
メンテナンスの頻度は、患者様のお口の状況によって最適な頻度が違います。
なので、最適な頻度で、質の高い歯科衛生士がメンテナンスをしている歯科医院へ行くことをお勧めいたします。
I:この度のインプラントを入れるにあたっての治療計画
治療計画も非常に重要な因子です。
10年、20年先を見越した、患者様に無理のない治療計画がとても重要です。
・とりあえず抜けた部分から1本ずつインプラントに変える。
・他の歯も歯周病の問題はあるが今症状ないので手をつけない。
↑これが最悪です。
インプラントは歯周病原菌に非常に弱いです。
しっかり先を見据えた治療計画が大変重要です。
どこにどれだけの数の問題があり、その問題解決にはこれだけの治療オプションがあり、それらをどう組み合わせて治療するのがベストか。
どの方法がオーバートリートメントにならないか。
患者様にとってどの治療法が現実的かを十分に相談する必要があります。
希望していない治療はしない。
ただし、ベストな治療から妥協すればするほど、インプラントにとって不利なリスクもあるので十分注意も必要です。
銀歯をひたすらセラミックにする勧誘ばかりするような、余計な治療を進める歯医者は論外ですが、インプラントを含めた適正な全顎の治療計画がない歯医者も論外です。
J:術者の技量
術者の技量は、インプラントの寿命にとても大きく関わってきます。
まず、診査・診断、治療計画を誰が行うのか?
また、手術、インプラントの治療は誰が行うのか?
他の歯への配慮も含め、
・インプラントの術前診査
・診断
・術前治療
・一次手術
・二次手術
・補綴治療
・メンテナンス。
これを、誰が、どのような施設で行うのかが、
インプラントの寿命に大きく関わってきます。
インプラントの寿命についてのまとめ
インプラントは93%の人は、20年以上もつ、と考えてよさそうですね!
寿命のポイントについては、自分で気をつけてできることと、できないこともありますが、
非常に大事なことは、誰にどんな治療をしてもらうのか?
メンテナンスにしっかり通う事!
そして、自分も歯ブラシ上手になることが
インプラントを長持ちさせる秘訣です!
この記事は、院長にインタビューしながら執筆したので、
私も色々勉強になったことが沢山ありました。
みなさんにも、参考になったら幸いです。
さて、インプラントの寿命に関する一番のポイント
「誰にどんな治療をしてもらうか」についてですが
こちらの記事が参考になるかと思います。
当院のインプラントの治療実績や、治療例が知りたい方は、
こちらの記事が参考になると思います。
https://prism-perio.com/blog/wp-admin/post.php?post=1312&action=edit
日本口腔インプラント学会が、歯科医院の選び方や、インプラント治療についてまとめたページがあるので、
こちらも参考にしたい方はどうぞ。
https://www.shika-implant.org/min-implant/
当院では、インプラント専門医と、歯周病専門医・指導医の両方を併せ持つ院長が責任を持って治療しております。
ご相談・ご質問、いつでもお受けしています。