こんにちは!
プリズムタワー工藤歯科の副院長、工藤有加です。
今日は、虫歯の治療の中で、一番歯を削らない治し方、ダイレクトボンディングについて説明していきます。
虫歯の治し方については、虫歯の出来た場所や、大きさによって最適な治療法は異なりますが、ダイレクトボンディングが適応の虫歯だったら、実は、めちゃくちゃラッキーです。
実は、私の口の中にも、ダイレクトボンディングで治療した虫歯が、たくさんありま前歯の歯と歯の間のダイレクトボンディングで、15年ほど経ちますが、着色もしてないですし、境目もほとんど気になりません。
ダイレクトボンディングを勧められたけど、どんな治療法なんだろう?と、詳しく知りたい人のために、ダイレクトボンディングのメリット、デメリット、どんな場合に適応するのか?また、費用についてや、ダイレクトボンディングにどんな価値があるのか、について知りたい人のために、説明していきたいと思います!
ダイレクトボンディングとは?
ダイレクトボンディングは、歯科治療の一つで、特に虫歯の治療や歯の形状を整えるために用いられます。
この治療法は、歯の色と極めて近い色の、フィラー含有率の高いハイブリッドセラミックスを歯に直接塗布し、光を当てて硬化させることで歯を修復します。
ダイレクトボンディングの利点
ダイレクトボンディングの利点は、歯をできるだけ削らなくて済むし、審美的にも優れている、というメリットがあります。
そして、30分から1時間程度で治療が完了。一日で治療が終わります。
普通の保険のプラスチックよりも全く違う、フィラー含有率の高い材質のハイブリッドセラミックスを使っていますので、着色もしにくいですし、耐久性も良いです。
虫歯の部分だけを削って、削った場所に、直接、歯と同じ色の樹脂を詰める治療法なので、1日で、歯をできるだけ削らない、審美的にも優れた治療法なんですね。
ダイレクトボンディングの欠点
ダイレクトボンディングの欠点は、フィラー含有率が高いハイブリッドセラミックスを使用しますので、通常の保険で使うコンポジットレジンよりも耐久性と審美性にも優れていますが、やはり、樹脂(プラスチック)なので、変色してしまう可能性もあるし、欠ける可能性もゼロではないです。
そして、歯と歯の間の回復が難しく、適切なコンタクトの強さの回復は難しいので、治療をしてもその場所に物が詰まる可能性もあります。
なので、高度な技術が必要ですし、誰でもが上手にできる治療法ではありません。
あと、この欠点があまり出ないような場所にしか適用できないので、適用される虫歯の範囲がかなり限られます。
次に、ダイレクトボンディングの適用する虫歯について説明していきますね!
ダイレクトボンディングの適用範囲
ダイレクトボンディングの適用範囲は、小臼歯、前歯・大臼歯で虫歯自体がそんなに大きくない場合に適用になります。
逆に、大きな範囲の虫歯のダイレクトボンディングは、強度的に欠けたり、変色や劣化をする可能性もあるので注意が必要です。
ダイレクトボンディングのプロセス
虫歯の除去
まず、歯科医師が虫歯を除去します。
この時に、虫歯の取り残しがないように、慎重に虫歯を除去していきます。
う蝕検知液を使用して、染まった歯質を、タービンか、コントラという回転器具で、神経を傷つけないように慎重に、虫歯を除去していきます。
接着剤の塗布
次に、歯科医師は特殊な接着剤を歯に塗布します。
これは、樹脂製の材料が歯にしっかりと固定されるようにするためです。
唾液や水分があると、うまく接着しないので、よく乾燥させて、唾液が入らないよう防湿して、接着剤を塗布し、特殊な光を当てて、接着剤を硬化させます。
ハイブリッドセラミックス(樹脂製の材料)を歯に詰める
次に、 歯科医師はハイブリッドセラミックス(樹脂製の材料)を歯に塗布します。
この材料は、歯の色に合わせて調整することができます。
ハイブリッドセラミックスを歯に詰めたら、特殊な光を当てて、樹脂を硬化させます。
これにより、材料は歯にしっかりと固定され、自然な見た目の歯が完成します。
咬合調整
詰めた樹脂が、噛み合わせで高くなってないかどうか、咬合紙で確認します。
高さが高いようであれば、樹脂の高さを削って、ちょうど良くなるまで調整します。
研磨
樹脂を研磨用のポイントや特殊なテープを用いて磨いていきます。
ダイレクトボンディングのコスト
ダイレクトボンディングの費用は、歯科医院の設定の仕方によって違います。
適応範囲も、歯科医院によって違いがあります。
当院は、ダイレクトボンディング1本5万円という設定になっていますが、これよりも高い設定もあれば、低い設定料金の歯科医院もあります。
詳しくは、歯科医院に問い合わせてくださいね!
ダイレクトボンディングを選ぶべきか?
ダイレクトボンディングを選ぶべきかどうか?は、歯科医師とよく相談した方が良いと思います。
次に、この場合には、ダイレクトボンディングがお勧め!というのと、あまりお勧めではない場合もあるので、それぞれ説明していきますね!
こんな時はダイレクトボンディングがおススメ!
小臼歯の歯と歯の間の比較的小さい虫歯
小臼歯(前から4番目と5番目の歯)の、歯と歯の間の比較的小さな虫歯には、ダイレクトボンディングが一番オススメです!
条件は、虫歯がそんなに広がってなくて、虫歯を除去しても、歯の隅角(歯の角の部分)と、咬頭(一番高くて噛む山になっている部分)の歯質が残っていることです。
前歯がすきっ歯
すきっ歯を治したい場合、ダイレクトボンディングがおすすめの場合があります。
条件は、虫歯はないか、あってもごく小さい虫歯で、自分の歯の表面は美しいエナメルが多く残っていて、元々の歯並びが良くて矯正治療の必要はなくて、歯を削るのが勿体無い場合です。
ですが、ご自分のエナメル質に接着剤を塗って、ハイブリッドセラミックスを付けるので、年数が経過すると、その境目が茶色く変色してくる可能性が高いです。
前歯のすきっ歯は、矯正治療や、歯茎の形態の手術をすることで、前歯と前歯の隙間の悩みが解消する場合もありますので、よく歯科医師と相談してくださいね!
こんな時はダイレクトボンディングはお勧めしません
審美目的の広範囲の部位へのダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングは、審美目的で広範囲の部分に適用することはおすすめしません。
理由は、ダイレクトボンディングは、ハイブリッドセラミックス、と言っても、レジン
(プラスチック)の成分が入っていて、所詮、樹脂(プラスチック)だからです。
治療した直後は綺麗に見えても、経年的に劣化し、耐久性、審美的にも劣化します。
例えば、前歯の大部分が欠けている場合、ダイレクトボンディングで補修すると、噛む力により樹脂が剥がれる可能性があります。
また、歯の色や形状を自然に見せることは可能ですが、プラスチックのコップが劣化すると汚くなるように、プラスチックの表面や境目が劣化していきます。
以上の理由から、ダイレクトボンディングは、審美目的で広範囲の部分に適用することはおすすめしません。
ご自分の歯のエナメルを生かして、ごく小範囲でのダイレクトボンディングで審美的に修復できる場合はお勧めです.
ダイレクトボンディングで広範囲の補修が必要な場合は、より耐久性があり、審美性に優れた他の治療法(例えば、クラウンやベニアなど)を検討することをおすすめします。
大きな範囲の虫歯治療
大きな虫歯に対してダイレクトボンディングを適用することはおすすめしません。
ダイレクトボンディングは、大きな虫歯に対して適用すると、以下のような問題が生じる可能性があります。
1. 耐久性:ダイレクトボンディングで使用される樹脂は、金属やセラミックなど他の材料に比べて耐久性が低いです。大きな虫歯に対して適用すると、噛む力や摩耗により、樹脂が剥がれたり、変形したりする可能性があります。
2. 構造的強度:大きな虫歯では、歯の構造的な強度が損なわれている可能性があります。ダイレクトボンディングでは、このような構造的な強度を十分に回復することが難しいです。
例えば、大きな虫歯がある場合、ダイレクトボンディングで補修すると、噛む力により樹脂が剥がれる可能性があります。また、歯の構造的な強度が損なわれているため、さらなるダメージを受けるリスクがあります。
以上の理由から、大きな虫歯に対してダイレクトボンディングを適用することはおすすめしません。大きな虫歯の補修が必要な場合は、より耐久性があり、構造的な強度を回復できる他の治療法(例えば、クラウンやインレーなど)を検討することをおすすめします。
9. まとめ
ダイレクトボンディングは、歯科治療の一つで、歯の欠損部分や微小な欠けを補修するために使用されます。以下に、ダイレクトボンディングの主要なポイントと、ご自分で、良い選択ができるための情報をまとめてみます。
ダイレクトボンディングの特徴
– 歯科医が直接歯に樹脂を塗布し、形状を整え、硬化させる治療法です。
– 治療時間が短く、通常は一回の診察で完了します。
– 樹脂は歯の色に合わせて調整できるため、自然な見た目に仕上がります。
ダイレクトボンディングの適用範囲
– 小さな欠損部分や微小な欠けの補修に適しています。
– 大きな虫歯の補修には、耐久性や構造的強度の観点から不適切です。
ダイレクトボンディングの注意点
– 使用される樹脂は金属やセラミックなど他の材料に比べて耐久性が低いため、噛む力が強くかかる部分には不適切です。
– 樹脂は時間とともに色が変わる可能性があります。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。
自分で良い選択ができるために知っておきたいこと
– 自分の歯の状態や治療の目的を明確に理解することが重要です。例えば、小さな欠損部分の補修が目的であれば、ダイレクトボンディングは良い選択肢となります。小さな修復の場合、保険での修復でも十分可能である場合があるので、ご相談ください。
– しかし、大きな虫歯の補修や、噛む力が強くかかる部分の補修が必要な場合は、より耐久性があり、構造的な強度を回復できる他の治療法(例えば、クラウンやインレーなど)を検討することをおすすめします。
– 歯科医とのコミュニケーションも重要です。治療の選択肢やそのメリット・デメリット、費用などについて十分に話し合い、自分に最適な治療法を選ぶことが大切です。
Q&A
ダイレクトボンディングはどのくらい持ちますか
ダイレクトボンディングの耐久性は、患者の口腔内の状態や生活習慣、治療を行った範囲、噛み合わせや、使用方法などによります。
ちなみに、私が院長に治療してもらったダイレクトボンディングは15年以上持っています。
しかし、ダイレクトボンディングは他の修復方法に比べて耐久性が低いため、定期的なメンテナンスが必要です。また、硬い食べ物を噛む、歯を食いしばる、爪を噛むなどの習慣があると、修復部分が剥がれやすくなるため注意が必要です。
ナイトガードを用いるなどして、夜間のブラキシズムや食いしばりなどの力から歯を守ることも大切です。
具体的な持続時間やメンテナンスの頻度については、治療を行う歯科医に相談することをおすすめします。
ダイレクトボンディングの治療後、何か特別なケアが必要ですか?
ダイレクトボンディングの治療後も、通常の口腔ケアを続けることが重要です。具体的には以下のようなケアが必要です。
1. 歯磨き:1日2回、食後すぐに歯を磨くことを習慣にしましょう。フッ素入りの歯磨き粉を使用すると、歯を強化し、虫歯を予防することができます。
2. 歯間ブラシ or フロス:1日1回、フロスまたは歯間ブラシを使用して歯間の清掃を行いましょう。
3. 定期的な歯科検診:ダイレクトボンディングした部分の状態をチェックし、必要に応じてメンテナンスを行うために、定期的に歯科医を訪れることが重要です。
特に、ダイレクトボンディングは他の修復方法に比べて耐久性が低いため、硬い食べ物を噛む、歯を食いしばる、爪を噛むなどの習慣があると、修復部分が剥がれやすくなるため注意が必要です。
ダイレクトボンディングの費用はどのくらいですか?
ダイレクトボンディングの費用は、治療を行う歯科医やクリニック、治療の範囲や複雑さ、地域などにより大きく異なります。一般的には、2万円から10万円程度の範囲であることが多いです。
具体的な費用については、治療を行う歯科医に直接相談することをおすすめします。また、保険の適用範囲や自己負担額についても確認しておくと良いでしょう。
ダイレクトボンディングと他の治療法(例えば、クラウンやベニア)との違いは何ですか?
ダイレクトボンディング、クラウン、ラミネートベニアは、全て歯の修復や審美改善を目的とした治療法ですが、それぞれ特性や適用範囲が異なります。
1. ダイレクトボンディング:
– 歯科医が直接歯に樹脂を塗布し、形状を整え、硬化させる治療法です。
– 小さな欠損部分や微小な欠けの補修に適しています。
– 治療時間が短く、通常は一回の診察で完了します。
– 費用は比較的低めですが、耐久性が他の方法に比べて低いです。
2. クラウン:
– 歯の大部分を覆うキャップ状の修復物です。
– 大きな虫歯や根管治療後の歯、欠けた歯の修復に適しています。
– 耐久性が高く、長期間持つことが期待できますが、治療には複数回の診察が必要で、費用も高めです。
3. ラミネートベニア:
– 歯の表面に貼り付ける薄いシェル状の修復物です。
– 歯の色や形状の改善、小さな隙間の埋め合わせなど審美的な治療に適しています。
– 自然な見た目に仕上がり、耐久性もある程度ありますが、治療には複数回の診察が必要で、費用も高めです。
以上のように、それぞれの治療法は特性や適用範囲が異なるため、自分の歯の状態や治療の目的に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。具体的な治療法の選択については、歯科医との相談が必要です。
ダイレクトボンディングは痛みを伴いますか?
ダイレクトボンディングの治療自体は、通常、麻酔をかけて行うので、痛みを伴うことはありません。治療では、麻酔下で、虫歯を除去し、歯科医が直接歯に樹脂を塗布し、形状を整え、硬化させるという手順を踏みます。この過程で歯の神経に触れることはないため、痛みを感じることはほとんどありません。
ただし、虫歯が深い場合には、神経の炎症を起こす可能性があり、治療後に痛みを伴う可能性があります。
また、ダイレクトボンディング後に感じる違和感や軽い痛みは、経過観察や、歯科医が行う微調整により改善されます。治療後に痛みが続く場合は、再度歯科医に相談することをおすすめします。
ダイレクトボンディングの結果は自然に見えますか?
はい、ダイレクトボンディングの結果は自然に見えることが多いです。ダイレクトボンディングでは、歯科医が直接歯に樹脂を塗布し、形状を整え、硬化させます。この樹脂は歯の色に合わせて調整することができるため、自然な見た目に仕上がります。
ただし、樹脂は時間とともに色が変わる可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。また、治療の結果は歯科医の技術や経験にも大きく影響されます。そのため、自然な見た目を求める場合は、経験豊富な歯科医を選ぶことが重要です。
これらの質問に対する回答は、治療を提供する歯科医やクリニックにより異なる場合があります。
そのため、具体的な情報を得るためには、直接歯科医に相談することをおすすめします!
インターネットで、こんなに広範囲でのダイレクトボンディングは、年数経過すると汚くなるだろうなあ、と思うものや、噛んで壊れてしまわない??耐久性大丈夫?と思うものもあり、患者様で悩む方もいらっしゃるだろうなあと思い、この記事を書くことにしました。
ダイレクトボンディングはとても魅力的な治療法ですが、メリット、デメリットをよく理解することが大切です。
また、場所や、目的によっては、保険のプラスチックで十分な場合もあります。
逆に、ダイレクトボンディングだからこそできる治療もあります。
ご質問ご相談ありましたらお問合せください。