こんにちは。プリズムタワー工藤歯科の工藤有加です。
現在、様子見の虫歯があると言われたけど、進行しないか心配で悩んでいる方のために記事を書いていこうと思います。
昔は、虫歯=削る というのが、主流の治療法でした。
本当に少し前まで、その考え方の先生も多かったですし、先生によって、様子見する場合と、治療をする場合の虫歯の線引きはまちまちです。
臨床経験の少なかった頃の私は、「虫歯=削る」という治療に疑問を持ちながら、臨床に向き合ってきました。
後々、臨床経験を積んで、わかったことがあります。
「虫歯を治すことも大事。なんだけど、それ以上に大事なことがある!」
と言うことです。その大事なこと、と言うのは、
その人が病気になった原因を取り除かなければ、その患者様は、虫歯を治したとしても、また、虫歯になってしまう!
つまり、
虫歯の原因を突き止めて、ストップしないと、虫歯を直しても、またその側から虫歯を作る、と言うことを繰り返してしまう!
と言うことなんですね。結果、たどり着いた私の一つの答えは、
直さなきゃいけない虫歯はその歯にとって「ベストな方法」で治すのが一番いい。
その上で、虫歯を治したら、虫歯の原因を突き止めて、予防できるような生活を維持する事が、治療のゴールだと言うことです。
みなさんは、今ある虫歯がどうなのか?と言うことについて気になっていらっしゃると思いますので、まずは、虫歯の進度別の状態、様子見するべきか治療するべきか?の考え方について書いていきますね。
・歯科医師になって、最初の10年間、大学病院の補綴科での臨床経験
・歯周病専門医指導医の院長と10年以上歯科臨床んのことを共有している現在
と言う経験を持つ私なりの答えや考え方を、虫歯について、臨床経験も踏まえてお話ししていきますので、虫歯を治療した方がいいのか、そうじゃないのか。悩んでいる方のお役に立てるかと思います。
この記事で、
・虫歯を様子見した方がいいと言われた人がしてはいけない
・初期虫歯を様子見する理由
・虫歯を様子見する場合の条件
・様子見していても虫歯が進行することもある!
・様子見せずにすぐに治療した方がいい虫歯
・虫歯治療を繰り返す歯の末路
・虫歯を繰り返さないためにできること
について書いていこうと思います。
虫歯を様子見しましょうと言われた人がしてはいけないこと
様子見でいいと言われたからと言って、そのまま放置しないこと。
これが様子見と言われた虫歯がある人がしてはいけないことです。必ず守ってください。
様子見でも、理由があって虫歯になっているのですから、これ以上広がらないような配慮が必要です。
そのためには、定期的に歯科医院に行って、変化がないかどうか、その都度、チェックをして、現状と、虫歯の状態の把握が必要です。
歯ブラシや食生活のちょっとしたことで、あっという間に虫歯が広がってしまうことがあるので、放置は危険です!
知らない間に広がって、痛みが出る頃には手遅れになってしまう虫歯が多いので、歯科医院で、定期的にチェックを受けることが大切です。
初期虫歯を削らずに様子見する理由
虫歯はあっても、明らかでない場合は、様子見をすることがあります。
なぜかと言うと、虫歯には、経過観察していい虫歯と、治療した方がいい虫歯があるからです。
どんな小さな虫歯でも虫歯を治療するためにはある程度健全な歯も削らなければなりませんし、一度削った歯は二度と取り戻すことができません。
そして、削って治しても、またその歯が虫歯になってしまうときは、その境目からで、歯を削る範囲がより大きくなってしまい、健全な歯をさらに大きく削ることになります。
なので、虫歯がそのまま大きくならなければ、削らないで様子をみた方が、歯を守ることに繋がることがあるのです。
ですが、虫歯を様子見するときに、気をつけたいポイントがあります。
次に、虫歯を様子見する場合に気をつけたいことについて書いていきますね。
虫歯を様子見するときに気をつけたいこと
初期虫歯を様子見するときに気をつけたいポイントを順番に書いていきますね。
歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスでお口の中を徹底的に綺麗に
歯ブラシやフロス、歯間ブラシを併用し、徹底的にお口の中を綺麗にすることで、虫歯の進行を防ぐことができます。
虫歯は、お口の中のプラークが多いと、あっという間に広がってしまいます。
なので、歯ブラシだけじゃなくて、歯間ブラシやフロスも併用して、プラークは徹底的に排除!して、お口の中を綺麗な状態にしておくことが大切です。
甘いものや酸性の食品を避ける
甘いものは虫歯菌の大好物!虫歯菌が糖を餌にして、歯をとかしていきます。
また、酸性のものも、酸そのものが歯を溶かすので実は注意が必要です。
砂糖を使っている食品は、虫歯の原因になるものとして有名ですが、実は、レモンや炭酸、お酢などの酸性の食品も、酸そのもので歯を溶かしていってしまいます。
あと、意外と知られていないのが、炭酸水(甘くないやつ)や、100%ジュース、スポーツドリンク、果物も歯を溶かしてしまう、虫歯の原因になるので、注意が必要です。
食べてもいいけど、そのあとは、うがいか歯ブラシをするようにしましょう♪
ダラダラ長い時間、食べたり飲んだりしない
ダラダ長い時間食べたり飲んだりすると、虫歯が進んでしまう確率がぐんと上がってしまいます。
皆さん、酸性、アルカリ性を表すPHってご存知ですか?
お口の中のPHが5,5以下の酸性になると、お口の中が虫歯になりやすい環境になります。
なので、その時間が長くなれば長くなるほど、虫歯ができる環境を自ら作っていることになります。
飴やハイチュウなどの口の中の滞在時間が長いもの、また、炭酸やスポーツドリンクを一日中何回も飲むなどの習慣はとても危険です。
食べる時は食べるけど、すぐ、うがいをするなり、水を飲むなどして、中性に戻すことが大切です。
定期的なチェックとクリーニングをする
定期的なチェックとクリーニングをして、変化がないかどうかチェックすることが大切です。
なぜなら、自分だと、微細な変化に気が付けないからです。
私たちが、定期的にチェックをすることで、虫歯や口腔環境の変化に気がついて、対応できるので、虫歯が広がらないうちに治療することができて、お口を良い環境で保つことができます。
様子見の虫歯が進行してしまう場合もあるので注意!
様子見すると言われた虫歯が、進行する場合もあるので、注意が必要です。
理由としては、食生活の変化だったり、生活習慣の変化があって、虫歯のリスクが上がる場合があるからです。
ずっと様子見していて、そろそろ治療しましょう、と言われた虫歯が割と深かった、ということも臨床ではよくあることです。
なので、定期的なチェックは必ず必要ですし、沁みてくるなどの変化があったりして心配な場合は、早めにかかりつけの歯科医院に相談してくださいね!
すぐに治療した方がいい虫歯
様子見しないですぐに治療した方がいい虫歯があります。
それは、ある程度進行した虫歯や、虫歯の進行のリスクが高い方です。
今までの経験で、この虫歯は進行しているから治した方がいい、という場合や、この患者様は虫歯ができると進行してしまいがち、というのは、ある程度わかっていることが多いです。
その場合は、様子見しないで、すぐ、虫歯の治療をしましょう、ということになります。
その後は、本当に予防が大事なので、虫歯を繰り返さないように極力注意しましょう。
次に、虫歯治療を繰り返すとどんな末路があるか?書いていきますね。
虫歯治療を繰り返すとどんな末路をたどるのか?
虫歯治療を繰り返すと、最後は歯を失ってしまいます。
理由は、削ってしまった歯は元には戻せないし、またその境目から虫歯になってしまうので、削る範囲が大きくなってしまうからです。
順番に説明していきますね。
小さな虫歯の虫歯部分を削り取り、プラスチックで詰める治療をします。
↓
プラスチックと歯の間からの2次カリエス(境目から虫歯になるor材料の劣化)になります。
↓
プラスチックと虫歯を削り取り、再度もう少し広い範囲でのプラスチックで治療か、インレーか被せ物になります。
↓
大きなプラスチックと歯の間や、インレーやクラウンの境目からまた虫歯になったりします。虫歯が奥まで広がってなくて、神経を残せたらラッキーですが、虫歯が深くなって神経を取らなくてはならない可能性も出てきます。
↓
神経を抜き、歯全体を覆うクラウンへ
↓
神経をとるときに根の治療が不十分だと、もう一度外して根の治療が必要だったりします。
神経を取った歯は折れやすいので、根の部分にヒビが入ったり折れやすくなります。
↓
歯を残せなくなり、抜歯
必ずしもこのように進むことばかりではありませんが、
例えば上記のように、治療を繰り返せば繰り返すほど、その度にどんどん歯が削られて、抜歯に向かっていってしまう。そんな現実が待っているのです。
虫歯を繰り返さないためにできること
・歯ブラシの定期的なチェック
・歯と歯の間の掃除を習慣にする(フロスや歯間ブラシなど)
・飲み物は、水かお茶にする
・その時の虫歯治療は、その歯にとってベストな治療法を選択する
(精度の高いものを入れた方が、その後の虫歯になる率は少ないです)
・鼻呼吸をする
・食事のたびに歯ブラシかうがいをする
・定期検診を受ける
ことで、虫歯を予防することができます!
まとめ
まとめの内容を箇条書きで書いていきますね!
・虫歯っぽいと思ったら、自己判断せず、歯科医院でチェックを受けること
・小さな虫歯は歯科医院の管理のもと、基本的に削らないで様子見するのがオススメ
・歯ブラシと食生活とシュガーコントロールの徹底が何よりも大切
・必要な虫歯治療は早めに治療するのがオススメ
・虫歯の部位や口腔内の状態で、虫歯の治療方針が異なる
・精度の良い虫歯の治療方法を選択した方が、その歯を守ることにつながる
ということです!
「患者さんの歯をできるだけ削らずに守る」ということと、
治療が必要な部位に関しては、
「メリット・デメリットを説明し、理解していただいた上で、最小限で、最良の治療を提案し、行うこと」
そして、定期チェックを行い、お口の中全体を良い方向に導くこと。
このことを大切にして、日々、歯科臨床に取り組んでいます。
そのためには、定期的なチェックとクリーニングは欠かせません♪
様子見と言われた虫歯が心配で、悩んでいる方のお役に立てたら嬉しいです!
ここまで読んでいただいてありがとうございました。